2014年09月27日

(2014年9月9日)都心回帰に変わった10年 高まるエリア分析の重要性(116号)

◎札幌の分譲マンションは約17万戸

 2005年8月から書き続けてきた「札幌マンションマーケット最前線リポート」が本稿で最終回を迎えた。足かけ10年、ほぼ4週に1回のペースで更新し、今回で116回目となる。

 札幌のマンションマーケットは、札幌オリンピックが開催された1972年ごろから本格的なマーケットとして形成され、その後、現在に至る約45年間で約17万戸のマンションが供給された。札幌オリンピックを機に地下鉄が開通したことで、分譲マンションの多くは地下鉄駅周辺や沿線に建ち、都心の居住人口が増えた。この結果、商業施設などができて生活の利便性が向上し、都心は通過地点や職場としての機能から居住地域としての意味を持つようになった。地下鉄と分譲マンションの発達は、歴史を共有しているのだ。

◎マンションマーケットの3つの転換点

 さて、札幌の分譲マンションのマーケットの歴史を振り返ると、大きな変化が2度あり、それに次ぐ変化が今、起きている。

 最初は1990年前後のバブル経済と破綻、次は2007年〜08年のリーマンショックで、ともにマンションの需給数が拡大し価格が上昇したが、その後、急落し需給が激減するというマーケットの急激な拡大縮小があった。

 バブル経済期には、地価が急上昇した。このため、都心の地価が高いエリアには通常のファミリータイプのマンションが供給されず、小さな面積の投資用マンションばかりが供給され、都心縁辺部に高級・高額マンションが供給された。

 リーマンショック時は都心の地価上昇と資材高による建設費の急上昇が起きた。このときは、都心を避け、郊外に小住戸が多数供給され、大量の在庫を抱える結果になった。

 そして現在は、昨年からの建設費の上昇によりマンション価格が急騰している。その原因は東日本大震災のための復興投資に加え、アベノミクスによる公共事業が拡大した結果、建設現場の職人不足が深刻になり、人件費が高騰したことにある。

 昨年1年間で人件費が3割近く上昇し、エリアに関係なく供給価格が高くなったため、高値でも売れる札幌駅近隣や円山エリアに供給が固まり始めている。都心の地価も上がっており、今後は供給面積が小さくなる小住戸化が進んでいくと考えられる。引き続きマーケットの変化には注意が必要だ。

◎マンションマーケットの最前線では

 日本は人口が減る時代を迎え、新しい都市のあり方として、公共施設や住宅を市の中心市街地に集約するコンパクトシティー構想が掲げられるようになって久しい。コンパクトシティー化を進めるには、マンションは必要な住まいの形だが、札幌市内に供給されてきた分譲マンション17万戸が、すべて持家として使われていると仮定すれば、約42万戸の持家(2010年国勢調査)のうち、40%前後が分譲マンションとなり、かなりの割合でマンション化が進んでいることになる。

 住宅や不動産に関わるマーケティング活動に長年関わってきて、このマーケットリポートを連載した10年は、札幌市内の居住人口が郊外から都心回帰に切り替わり、住宅・不動産に関わる金融や建設環境も大きく変わった時代だった。今後は郊外に展開されてきた大型スーパーなども都心に注目して、新たな都市的商業施設の展開が課題になっていくだろう。

 住宅というきわめて購入頻度の少ない商品の需給関係を示す最も明確な指標は、人々の住居移動の膨大なデータだ。エリアの人口や世帯の変化、年齢層の変化をしっかり見つめていると、マーケティングのポイントは極めて明瞭に見える。

◎終わりに

 長きにわたり、読んでいただいた読者のみなさんに、この場を借りて感謝の意を表したいと思います。有難うございました。

 今後の札幌マンションマーケットの定時リポートは、私が経営するインフォメーション・システム キャビンのホームページで、ブログの形で継続し、これまでのリポートは、アーカイブ版として保存する予定です。

 なお、連載を終えるにあたり、札幌の住宅・不動産マーケットの変化や不動産に関わる基本知識についてのセミナーを無料で開催しますので、電話(011−252−1667)またはメール(cabinnet@rose.ocn.ne.jp)でお問い合わせください。

posted by 志田真郷 at 10:33| 2014年